一般には、「あん摩」と「マッサージ」が同じような意味で使われることがあります。
しかし、当院ではこの二つを明確に区別しています。
あん摩は、布の上から経絡に沿って身体へ働きかける施術です。
一方、マッサージは皮膚に直接触れ、末端から身体の中心へ向かう求心性の手技を基本とします。
そのため、同じように手を使う施術でも、身体への働きかけ方や施術する方向は大きく異なります。
当院では、あん摩を中心に施術していますが、身体の状態や施術の目的によっては、マッサージを選ぶことがあります。
大切なのは、「揉む」「さする」といった動作の違いだけではありません。
その手技が何を目的として、どの方向へ、どのように身体へ働きかけるのか。
その違いを理解したうえで、あん摩とマッサージを使い分けています。
マッサージは、皮膚に直接触れて行う施術です。
そのため当院では、手と皮膚との摩擦を調整し、手を滑らかに動かすために、施術する場所や状況に応じてオイルやタルクを使用します。
院内ではオイルを用いることがありますが、往療ではタルクを使用することがあります。
オイルとタルクでは使用感は異なりますが、目的は共通しています。
皮膚を必要以上にこすらず、適度な滑りを保ちながら、末端から身体の中心へ向かって連続的に手を動かしていくためです。
ですから、当院にとって大切なのは「オイルを使うこと」そのものではありません。
オイルやタルクは、マッサージ本来の手技を行うための補助として使っています。
何を用いるかよりも、
皮膚に直接触れること。
適切な摩擦を保つこと。
そして、求心性の方向を意識して施術すること。
そこに、あん摩とは異なるマッサージの特徴があります。
マッサージでは、手を動かす方向にも意味があります。
基本となるのは、手足などの末端から身体の中心へ向かう求心性の施術です。
これは、皮膚や皮下組織に働きかけながら、停滞している体液を心臓へ還流させる方向を意識して行うためです。
そのため、あん摩とは施術する方向が大きく異なります。
あん摩では経絡に沿って身体を捉えながら施術していきますが、マッサージでは血液やリンパなどの体液の流れを意識し、末端から中心へ向かって連続的に手を動かします。
たとえば脚であれば、足先から下腿、大腿へ。
腕であれば、手から前腕、上腕へ。
ただ皮膚の上を滑らせているのではなく、どちらへ向かって施術するのかを意識しながら手技を行っています。
「オイルを使っているからマッサージ」なのではありません。
皮膚に直接触れ、体液の還流を意識して求心性に施術する。
そこに、当院が考えるマッサージの基本があります。