さしでがましい!?

◆七十八難曰.

知爲鍼者.信其左.

不知爲鍼者.信其右.

突然出てくるこのフレーズ、最近まで何のことを言っているのかよくわからなかった。

また、鍼灸学校時代、左手の押手が大切とはよく聞かされていた。

だけど、このことを具体性をもって教えてもらった覚えはない。

最近、師匠の講義で気づかされたことがある。(教えてもらったに近いか?)

押手は皮膚を押すのだということ。刺手は刺すんだけど、やりすぎちゃいかんということ。

日本伝統の鍼の弾入から刺入にいたる過程で、痛みがないほうがいいことは周知のことだ。

押手と刺手の双手による刺入と抜鍼は、患者に不快感を与えないという目的にかなっている。

しかし、右手の刺手の操作を強調しすぎると不快感を与える場合が多いという事実は、多くの鍼師が試行錯誤の中で発見するはずだ。

敏感な患者ほど、押手をしっかり使って不快な思いをさせないように努力すべきだろう。

押手の上下圧を強くして、その戻りで鍼を進めるようにして、刺手はその位置をキープするぐらいの気持ちでいると、敏感な人にも過敏痛を与えるリスクが減るのです。

まさに「刺手がましい」は不愉快ってことです。

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形不足者.温之以氣. 精不足者.補之以味.

 「形不足なるものは、これを温めるに、気を持ってす。精不足なるものは、これを補うに味を持ってす。」(『素問』陰陽應象大論篇)

「肉体的な病のものは、これを温めるのに気の作用を用いる。精が不足しているものは、これを補うのに五味の食物を用いる。」というのがこの文の大意です。

形というのは外見です。精というのは内面です。

外から見てわかる不足に対して気を用いるとは、身体を防衛する機能を高めることをするということです。気とは、身体を守る気という説と、薬を用いるという説の二つがあります。

内側の不足に対して味を用いるとは、食べ物の五味(酸苦甘辛鹹)の不足する者を与えるという意味です。

すごく難しい解釈ですが、多分、外見の不足は症状が軽いので薬が効くが、内面の不足は薬を与えても聞かないくらい重いので、栄養補給で対処しなさいということかと思います。

 

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智者察同.愚者察異.(『素問』陰陽応象大論(05))

「智者は同を察し、愚者は異を察す」と読んでおきます。

「賢い人はその根本的な原則をよく考えて適切に対応し、愚かな人はその違いだけにとらわれて、なぜそうなるかという原則を考えない。」という大意になります。

これは養生法に関して書かれている件なのですが、拡大して解釈すると、いろんな場面でこのようなことはあるかと思います。

似たような立ち位置の人同士が、少しの違いを問題にして本質からずれた議論を戦わせ、本質に迫れないことがあります。

全く時間の無駄とは言いませんが、お互いの共通点を見つけたら有意義な結論になりそうなのに…。

陰陽論は、こんなときに心を広くしてくれます。

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故因其輕而揚之.因其重而減之. 因其衰而彰之.

 「ゆえに、その軽きによりてこれを揚げ、その重きによりてこれを減じ、その衰えによりてこれをあらわす。」(『素問』陰陽應象大論篇)

「(そのようなわけで、)。病の性質が軽いものは表面に揚げて発散し、重たいものはこれを減らすようにし、衰えているものはこれをはっきり目立つように(元気にするように)させる。」というのがこの文の大意です。

「鍼はどんなふうにして治すのでしょうか?」と、よく質問されるのですが、なかなかうまく答えられません。

もし答えるとしたらこんな感じでしょうね。

科学的な言い方は簡単なのですが、それでは答えになっていないんですね。無理にこたえると物事の一面だけをこたえた形になりますね。

今のところ、この言い方を超える説明は思いつきませんね。この説明を聞いて、「ああそうですか…。」で、納得していただけますか?

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善診者.察色按脉.先別陰陽. 審清濁.而知部分

 「よく診る者は、色を察し、脈を按じ、まず陰陽を別つ。清濁をつまびらかにし、部分を知る。」(『素問』陰陽應象大論篇)

「上手な医者は、顔色を見て脈を見て、その病がまず陰病火曜秒かを判別する。そして、その病が欝滞によるものか、衰弱によるものかを明らかにしてから、細かな診察をして患部を見る。」というのがこの文の大意です。

東洋医学の診察は、多岐に及びます。すなわち、診察は玄関を入ってからの行動言動をすべて観察しています。もっといえば、予約で電話を受けたところから診察が始まっているんです。

「望聞問切」という風に東洋医学の診察を表現します。望→眺める、聞→声を聞き、においを確かめる、問→症状を聞きだす、切→触って確かめる、という一連の診察方法です。

皆さんが来院するときに、何気なくしているようですけど、毎回実行している当たり前の診察の習慣です

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